高齢化社会に向けて、企業はより多くのシニア世代を雇用する傾向にある。ここでいうシニア世代とは定年退職者以降の社員のことである。
しかし、65歳までの延長雇用期限があるにも関わらず、定年退職後1-2年で会社を退職するシニア社員は少なくない。
理由のひとつとして、シニア社員の能力をどのように生かすか、現役の管理職が理解していないことが上げられる。
Raymond Cattell and Horn, J.L.による知的能力の分類によれば、我々は、新しいことを覚える「流動性知能」と、今までの経験を活かす「結晶性知能」がある。
流動性知能は、約60歳を境に急激に低下し、70代までには20代よりも能力が低くなるが、結晶性知能は、緩やかに低下し、70代でも20代よりも能力は高いことが研究で明らかになっている。
この研究結果により、シニア社員には今までの経験や結晶性知能である知識を生かせる仕事を主に与えたほうが活躍できると考えられる。
目まぐるしく変化が速い日常であるため、シニア社員にも流動性知能を使い新しいことを学んで仕事を進める必要があるが、
シニア社員に活躍してもらう場合は、結晶性知能:流動性知能=70%:30%の割合で、仕事を任せたほうが効果的であろう。
高橋和宏